根抵当権変更

債権の範囲

  • 根抵当権の債権の範囲の変更登記は、原則として根抵当権者が登記権利者、設定者が登記義務者となって申請する。ただし、債権の範囲が縮減することが形式的に明らかな変更の登記は、根抵当設定者が登記権利者根抵当権者が登記義務者となって申請する。(昭和46年10月4日民事甲第3230号)
    • 根抵当権の債権の範囲が縮減することが明らかな場合とは、「証書貸付取引、当座貸越取引→証書貸付取引」、「銀行取引→手形貸付取引」、「売買取引→電気製品売買取引」などが該当する。(昭和46年12月27日民三第960号)
  • 数人の共有する根抵当権の共有者の一人の債権の範囲を変更する場合でも、共有者全員が登記権利者として申請する
  • 債権の範囲の変更は、元本確定後は、たとえその契約が確定前になされていたとしても、することができない
  • 根抵当権の元本が確定する前に、その債権の範囲に属する債権について質入がなされたときは、根抵当権の登記を目的として債権質入の登記をすることができる。この登記を申請するときは、申請情報の内容として、債権の範囲に属する債権の中のどの債権が質入されたのかを特定するための表示(債権発生の原因及びその日付等)を提供することをようする。

極度額

  • 極度額の増額変更登記のある場合であっても、根抵当権抹消の登記の申請については、当初の根抵当権設定登記済証だけでよく、根抵当権変更登記済証まで添付する必要はない。(「登記研究」第465号79頁)
  • 根抵当権の極度額の変更・更正の登記は、増額、減額とも必ず付記登記によってする。申請時の登記上の利害関係人の承諾書(不登法35条1項4号の書面)を添付しなければ登記の申請は受理されない。極度額の増額につき利害関係人の承諾が得られない場合は、増額分については、新規の根抵当権設定登記としての申請によるしかない。 (昭和46年10月4日民事甲第3230号)

債務者

  • 物上保証人を設定者とする根抵当権の債務者が死亡し、その相続が開始して6ヶ月経過したが、債務者の相続、合意の登記をしていない。その後、債務者の相続人と協議の結果、債務を承継する相続人が決まったが、免責的債務引受による根抵当権の債務者の変更登記をする場合、前提登記として債務者の相続による債務者の変更登記の申請を必要とする。(「登記研究」第482号180頁、第519号161頁、第557号169頁)
  • 根抵当権の債務者の変更登記は、根抵当権者が登記権利者、設定者が登記義務者となって申請する。この場合において設定者が所有権の登記名義人であるときは、申請書に、設定者の印鑑証明書の添付を要する。(昭和46年10月4日民事甲第3230号民事局長通達)
    • 抵当権の債務者変更の場合は、印鑑証明書は不要
  • 確定前の根抵当権の債務者を「A」から「A・B」に変更するとき、債務者Aの住所が甲地から乙地に変更している場合は、実態のとおり債務者Aについての「年月日住所移転」による根抵当権変更登記を経由してすべきであるが、変更後の事項を「債務者 乙地 A/某地 B」と記載して申請がなされても、便宜受理せざるをえない。(登記実務)
  • 同一の変更契約による根抵当権の債務者の交替的変更および債権の範囲の変更と極度額の増額の登記は、同一の申請書で一括申請することができる。(「登記研究」第451号126頁)
  • 債務者がA、Bである根抵当権に関し、元本が確定したのちにAが自分の債務の全額を弁済したときは、「Aの債務弁済」を登記原因として債務者をBとする変更の登記をする
  • 根抵当権者と設定者の間で、引受人を債務者に追加し、その引き受けられた債務(特定債権)を債権の範囲に追加する変更契約をした場合には、結果的にその引受債務は根抵当権によって担保されることになる。ただし、この場合は登記原因は「変更」で、債務者と債務の範囲を変更する。

確定期日

  • 登記された根抵当権の確定期日以後に、確定期日の変更の登記の申請は受理されない。(昭和46年10月年民事甲第3230号)
    • 変更契約のみならず確定期日の前日までに変更登記の申請もしなければならない。


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