所有権移転の一括申請

所有権移転・持分移転等

  • 所有権移転登記と所有権一部移転登記を同一の申請書することはできない(「登記研究」第423号125頁)。
  • 登記権利者登記義務者・登記原因が同一であり、かつ、持分の移転について第三者の権利に関する登記(処分制限の登記及び予告登記を含む。)がなされていない限り、所有権移転登記と共有持分全部移転登記は、同一の申請書で申請することができる(「登記研究」第470号97頁)。
  • 同一の被相続人名義となっている不動産の共有持分と他の不動産所有権は、同一の申請書をもって相続を登記原因として登記申請をすることができ、この場合の登記目的は、「何某持分全部移転・所有権移転」とし、持分の表示は申請書の不動産の表示中に記載すればたりる(「登記研究」第353号115頁)。
  • 甲・乙共有の不動産を丙が単独で買受けた場合、登記の目的を「共有者全員持分全部移転」として一括申請ができる(昭和35年5月18日民事甲第1186号)。
    • 注 共有者の持分について第三者の権利の登記等がある場合は、各別の申請書により登記の申請をする(昭和37年1月23日民事甲第112号)。
  • 相続による所有権移転あるいは持分全部移転については、第三者の権利に関する登記がある持分とそうでない持分とがある場合であっても、同一の申請書によってしなければならない(登記実務、昭和30年10月15日民事甲第2216号民事局長回答参照)。
    • 注 相続人の持分のうち、第三者の権利のない持分を相続登記後に移転する場合は、「何某持分一部(順位何番から移転した持分)移転」等と登記の目的を記載する(平成11年7月14日民三第1414号第三課長回答)。
  • 抵当権設定等の場合は、「何某持分一部(順位何番から移転した持分)抵当権設定」等とする。
  • 持分の異なる2個の不動産(A物件持分4分の1、B物件持分4分の2)について、登記原因、当事者が同一である持分全部移転の登記は、同一の申請書でできる(「登記研究」第430号)。
  • 甲が4分の1、乙が4分の1、丙が4分の2を共有する物件について、乙が持分全部、丙が持分4分の1を甲に移転する場合、登記の目的を「乙持分全部、丙持分4分の1移転」として、一括申請できる(「登記研究」第437号)。
    • 注 登記の目的を「乙持分全部、丙持分一部移転」とは記載しない。


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