既判力
既判力の標準時
既判力とは、口頭弁論終結時(基準時)における権利関係の存否を確定するものである。
- 既判力の標準時前に存在した事由でもって既判力ある判断を争うことは許されない(遮断効)。
- 既判力の標準時後に発生した事由を主張して、既判力ある判断を争うこと(現在の法律関係が標準時における法律関係と異なることを主張すること)は許される。
- 既判力は基準時における権利関係の存否の判断につき生じるので、当事者は後訴において基準時以前に存した事由に基づく主張や抗弁を提出することは許されない
- 口頭弁論終結前に相殺適状にあった自働債権をもって、判決確定後に相殺の主張をすることは既判力の遮断効によって否定されることはない
- 前訴判決の既判力に抵触する後訴判決も無効ではなく、違法な判決として上訴で取り消されうるにすぎない。
客観的範囲
- 確定判決は主文に包含するものに限り、既判力を有する
- 中間確認の訴えにて、本来の請求の先決関係たる権利あるいは存否について争いがある場合に、別訴による不経済は判断の不統一を避けるため、その存否について確認判決を求めることができる
主観的範囲
- 債権者の保証人に対する保証金支払請求訴訟における、主債務者には既判力が及ばない
- 訴訟から脱退した者にも既判力は及ぶ
既判力の双面性
- 既判力は、当事者の有利にも不利にも作用する。